佐藤 英行からのReport~「老化と向き合う」

4人のプラクティショナーが 、月ごとに自分の感じていることやお知らせしたい情報などフェルデンクライスに関することを皆様にお届けしています。

第10号-2017年4月は、佐藤 英行からお届けいたします。5月はなみかわ ももこが担当いたします。お楽しみに。

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「老化と向き合う」

先日、久しぶりに「冬眠状態」になっていたバイクに乗った。1200ccの大型バイクである。もう15年も同じバイクを所有しているが、最近は以前ほど乗らなくなった。メンテナンスの目的で100kmほど走ったが、そのあとに左肘が痛くなってしまった。左上腕骨外側上顆炎。奇しくも私の患者さんと同じ症状だ。あれから1ヶ月近く経過しているが、症状は未だに収まらない。今まで何の苦もなく出来ていたことが出来なくなってしまった。あまり認めたくないが「年を取った」ということだ。

「年を取る」ということは、当の本人にはあまり自覚がないものらしい。しかし「症状」として出てしまったからには、認めなければならない。残念だが「年を取らない」というわけにもいかない。ならばこの「老化」と上手くつき合っていくことが「残された人生の処世術」となる。

では、どうやって・・・???

ギブアップしてしまうのもひとつの方法だ。「そんな消極的な・・・」と思われるかもしれないが「老化によって出来なくなる事柄」は、間違いなく存在する。それを自覚して手放してしまうことは、立派な選択肢のひとつだ。それを自覚しないで以前と同じことをやったとしたら、どこかにひずみが生まれる。今回の私のように・・・・。

そして最も一般的で、みんなが理解しやすいのは「鍛える」という方法だろう。これが好きな人は多い。「健康維持」が目的で始めたジム通いが、いつのまにか「ジムでトレーニングすること」が目的になってしまっている人もいる。そして「トレーニングをした」という「達成感」を得ただけで「安心してしまう」というケースが、意外にも多いようだ。でもそれでは、今よりももっと年を取ったときに「昔は楽に出来ていたトレーニングが、今は出来なくなってしまった・・・」と、再び「老化」に悩み苦しむことになりはしないだろうか???

もうひとつ方法があるとしたら、それは「適応すること」だ。「老化した」という自覚があるのなら、まずは「老化した自分にとっての快適な動き」を見つけ出す。そしてその「自分の快適」を日々の活動のなかに組み込んでいくのだ。

私たちの日常生活は、いくつもの「単純な身体の動きの積み重ね」で作られている。仕事やスポーツだけでなく、歩くこと、走ること、立ったり座ったりする動き、それに呼吸の仕方や眼の使い方についても「単純な身体の動きの積み重ね」の結果なのである。そのひとつひとつを「快適」に出来るのならば、年を取ったとしても日常生活は「快適」なものになる。

あまり日常的ではない活動、例えば、普段あまり乗らなくなったバイクに乗ること(!?)や、旅行へ行ったり、新しいことにチャレンジしたりする場合には、その活動に「自分の快適」を上手くアレンジすることが出来れば「老化」にそれほど悩む必要がなくなるのかもしれない。

もちろんどこかで「線引き」をすることは必要だ。しかし、少しでも長く活動的でありたいと思うのであれば、やってみる価値はある。そのためには・・・・。フェルデンクライスのレッスンが、何かの役に立てると、私は信じている。

まずは、自分自身で実践することが、今の自分には必要だが。。。

プラクティショナー  佐藤英行

2017-04-22 | Posted in FK Tokyo 通信, ReportComments Closed 

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