自ら創り上げることができる ~サノ ケイコからreport

4人のプラクティショナーが 、月ごとに自分の感じていることやお知らせしたい情報などフェルデンクライスに関することを皆様にお届けしています。

第52号-2020年10月はサノ ケイコからお届けいたします。2020年11月はツダ ユキコです。

*************************

今読んでいる「住まいの基本を考える」(堀部安嗣著)で、建築の世界も

フェルデンクライスの考え方と似ていると感じた一部をご紹介します。

せっかく大きな家を建てても使われない部屋や快適でない部屋が生まれて、

実質的に小さな家になってしまうのです。

家も人体と同じように使われていない機能や場所があっては血流が滞り、

全体の稼働率が低くなるとそこからバランスを崩し、

病気や劣化や傷みにつながってしまいます。

そして性能が悪い家や大きすぎる家は、その家を次世代が引き継ぎたいという気持ちになれず、

このことがいま、空き家問題の原因の一つになっているように思います。」

人も家も使われない部分は、全体に影響するというのは同じなのですね。

この著者は家を設計する際に、「人はデザイン次第で豊かにも貧しくもなる。

もう一度こんなことを意識して建築を考えてゆきたいと思いっています。」

と書いています。

建築によって人を豊かにすることができるのですね。

私たちは自分自身の身体の中のどのくらいの部分を意識し、

どのように使っているのかをどのくらい分かっているのか。

普段の生活の中で、習慣的な動きは、限られた部分のみを繰り返し使い、

動きが起こらない部分は自己イメージから離れてしまう。

自分自身に注意を向ける機会がなければ、自分の中の限られた世界のみで生きることになります。

フェルデンクライス・メソッドでは、動きをただ繰り返し行うより、

注意を向けることが大切になります。

自分自身で動きを行うATMレッスンでもプラクティショナーの手によって動きを行うFIレッスンでも、何かにとらわれることなく自分のやっていることに注意を向けることです。

FIレッスンは、手によって動かされるので受け身のように感じますが、手からの動きを繊細に注意を向けることで、より多くの部分に影響されていきます。

レッスンでの動きが難しいと感じたり、よくわからないと感じることがあります。

それは、考え、知覚し、感覚を使って、もっとよりよく改善できる面白さがあるということだと思います。

お手本や参考書のないフェルデンクライスは、こうして学んだことをどのように自分のやりたいことに活かすことができるかにつなげるために、学ぶ過程で自ら創り上げることができます。

フェルデンクライスを続けている理由は、健康のため、パフォーマンスを向上させたい、痛みから解放されたい、自分自身をもっと知りたいなど様々です。

多くの方々にお会いするたびに、誰もが沢山の魅力ある可能性を持っていると感じます。

冒頭の建築の本を読んで、誰でもこのように学んだことを

どのように活かすことができるかを創り上げることができる可能性を引き出して欲しいと思います。

サノケイコ

2020-10-31 | Posted in FK Tokyo 通信, ReportComments Closed 

関連記事

Menu