サノ ケイコからreport~心の貯金

4人のプラクティショナーが 、月ごとに自分の感じていることやお知らせしたい情報などフェルデンクライスに関することを皆様にお届けしています。

第25号-2018年7月は、サノ ケイコからお届けいたします。2018年8月は佐藤 英行です。お楽しみに。

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灰谷健次郎の「兎の眼」という本を読み、

いろいろなことを考えさせられたうちの一つをご紹介しようかなと思います。

内容を簡単に言うと、小学校の新米の若い女先生が、

ごみ処理所の子供たちの純粋さに触れ、次第に変化し成長していく。

その変化は、自分が担任している子供たちにも影響し、

最後には、沢山の人の力を集め、社会的に大きな問題へと向かっていきます。

若い先生が、ごみ処理所の子供たちや先輩の先生と様々な出来事を経験しながら

弱いけれど強く変化していく過程が描かれています。

「カラスの貯金」というお話の中で

ある友達が熱を出して寝込んでしまう。

ごみ処理所に住んでいる子供たちはそれぞれに自分の大切なものを持ってお見舞いに行く。

若い先生はお金で買ったものを持っていき、子供たちのお見舞いを見て、

自分はひどくつまらないものを持ってきたと思う。

ごみ処理所の子供たちは、それぞれがガラクタの中から作った大切なものを持ってくる。

そこで若い先生が感じた部分の一部をご紹介します。

「ガラクタをながめていて、小谷先生はカラスの貯金という言葉を思い出した。

カラスは役に立たないものをあつめてくるくせがある。

風船の破れたのやくつのひも、なんでも巣にもちこみためている。

ものをあつめるとことは

カラスの貯金ににているが、処理所の子供たちは、

廃品を利用してものを作る心を貯金している。」

一部分を切り取っているので、わかりにくいと思うが、

どのように感じるだろうか?

貯金というと貯めるという感じだが、必要な時に

十分に使えるように備えておくと考えることができる。

自分の中に、豊かな選択肢がたくさんあれば、その環境に合わせて

対応できる。もし一つの方法しかなければ、どうだろうか?

処理所の子供たちは、自分の最も大切なものを惜しげもなく、

友達や先生にあげる。それは大切な人に対する思いやりや、

また新たに作ることができる。豊かな心の貯金をもっているからだろうか。

大人になり、年を重ねると経験によって、先を読むことは上手くなるが、

手放したり、失うこと、無理だと思えることを避け、

何もせずにあきらめてしまうことが多くなるかもしれない。

できるかできないか、いいか悪いかという考え方よりワクワクする気持ちや

いつも新鮮な感覚をもっていられたらと思う。

フェルデンクライスは自分を知る方法を学ぶものですが、

学ぶ時には楽しいということがとても大切になる。

この本の子供たちのように楽しく学ぶには、いつも新鮮な好奇心をもち、

優しさをもって心と体が豊かであるようにしたい。

少し飛躍していますが、この本全体から感じることは、

先入観が本当のことを見えなくしてしまう、

自分で考え、感じ、行動し続けることが大切である。

このことはフェルデンクライスと共通することだと感じた。

プラクティショナー  サノケイコ

2018-07-31 | Posted in FK Tokyo 通信, News, ReportComments Closed 

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