筋トレとストレッチ~佐藤 英行report~

プラクティショナーが 、自分の感じていることやお知らせしたい情報などフェルデンクライスに関することを皆様にお届けしています。第88号ー2024年7月は佐藤英行がお届けします。

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フェルデンクライスのレッスンでは「力を抜いて自分の動きに意識を向ける」ことが要求される。そして動く範囲は「ゆっくりと限界を超えない快適な範囲内で」と指示される。今まで「苦労を伴わなければ何も得ることができない」と教えられてきた人たちにとっては、ある意味で新鮮なことなのだろう。だからフェルデンクライスを初めて体験して「だったら筋トレって必要ないの??ストレッチはダメなの??」と思ってしまう人もいるのは当然だ。しかし、筋トレもストレッチも身体のパフォーマンスを向上させるための有効な手段なのである。

人間の動きは関節を動かすことで発生する。関節は筋肉が収縮することで動かされる。したがって筋肉を強く柔らかく保つのは「良いこと」なのだ。だからアスリートはパフォーマンス向上のために、日々のトレーニングを欠かさない。適切に筋肉を強化するためには、それ相応の負荷を与えなければならない。そして筋肉は自ら伸びる性質を持ち合わせていないので、縮んで力を出すためには柔らかい状態なのが有利だ。つまり、適切に筋トレとストレッチを行なってコンディションを維持するのは大切なのだ。

ではなぜ、フェルデンクライスのレッスンは「力を抜いてゆっくりと楽で快適な範囲内で」なのか??その答えの一つは「身体の使い方を見直すため」だ。

動きのパフォーマンスを実施するときに力任せに動いてしまうと、必要のない筋肉まで収縮させてしまう。その結果としてパフォーマンスの低下が起きてしまう。筋肉に動きの命令を出しているのは神経システムだ。神経システムの内部で起こっていることは外側からではわかりづらく、その本人が知覚して理解しなければわからないものだ。動くことだけに過剰に意識を向けてしまうと、それらの「微妙なこと」を感じるのが難しくなる。その感受性を高めるために「力を抜いてゆっくりと楽で快適に」なのだ。

筋トレやストレッチを適切に行なっていて、十分にコンディショニングが出来ているアスリートがフェルデンクライスのレッスンを受けたとしたら、今よりも更にパフォーマンスを向上させることが期待できる。残念ながらフェルデンクライスのレッスンだけでは筋力強化には繋がらない。だがパフォーマンス向上のために、普段のトレーニングに加えてフェルデンクライスのレッスンを受けることを強くお勧めしたい。

アスリートではなく、ごく普通の日常を送っている人々にも同様のことが言える。レッスンを受けることで、自分の動きのパターンを見つけ出し、より良い動きを探っていく。そして、自分の意図する動きの邪魔をしている要素がないのか?今よりも楽に簡単に動く事ができないのか?を見つけ出していく。今の自分が抱えている痛みや不都合が、自らの身体の使い方から来るのであれば、その「身体の使い方を見直す」のが最高の解決策になる。しかし、何か特別な理由や疾患などで日常生活を送るのに不都合なほどの筋力低下や関節の動きに制限があるのならば、フェルデンクライスのレッスンだけでは不十分だ。その場合には専門家の指示のもとで適切な筋力強化訓練や関節可動域訓練を受けるべきだ。

残念ながら、筋トレにしても、ストレッチにしても、フェルデンクライスにしても「これだけをやっていればOK!」というものではない。やり方を間違えなければ、筋トレもストレッチも有効な方法である。そして適切な筋トレやストレッチで整えられた筋肉のパフォーマンスを十分に発揮するために、フェルデンクライスのレッスンを受けるのが、最良の選択なのだ。

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フェルデンクライス プラクティショナー 佐藤英行

2024-07-31 | Posted in FK Tokyo 通信, ReportComments Closed 

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