経験とプロセス ~サノ ケイコreport~
プラクティショナーが 、月ごとに自分の感じていることやお知らせしたい情報などフェルデンクライスに関することを皆様にお届けしています。第85号ー2024年2月・3月はサノケイコがお届けします。
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映画『PERFECT DAYS』ヴィム・ヴェンダース監督のロングインタビューをyoutubeで見ることができる。監督の映画を作る時の考えが興味深く、フェルデンクライスとの共通点があると思うので、紹介したいと思います。
インタビューでの監督の言葉(一部を抜粋)
”映画を作る時はいつも初めての作品のようにやっています。…… 映画とは、未知の領域への途方もない旅です。映画を作りたいと思えるのは、その作り方がいまいちわからないからです。
どうすればいいのか全く分からない状態で始めること、私が望んでいるのはそういうことなんです。
…… 作り方がわからないから映画を作るのが好きなんです。
…… 映画は経験とプロセスなんです。プロセスというのは、受け渡すことができます。
映画はプロセスを見ることで観客はその中に入っていき、その一部になることができるんです。
プロセスは人の中に入っていきます。『PERFECT DAYS』がまさにプロセスでした。
…… 彼は言葉の一つ一つに耳を澄ませ、一つ一つの言葉になり、彼は聞く人になる。そうすると観客も聴く人になる。これがプロセスの指すところです。観客をプロセスに巻き込む……
映画が完全に商品になっている場合、私はたいていすぐに飽きてしまいます。そういう時私は消費者になるからです。…… 消費は受け身です。それがプロセスになると、私自分が巻き込まれる、私の身体と魂が。…… ”
フェルデンクライス メソッドも共通点があると思います。
フェルデンクライスのレッスンを受けて、なんだかよくわからないと感じる方が多い。
やればやるほど、本当によくわからないことが深くなっていくのが分かります。
自分が分かっていると思っていたことが、それは違うということに気づくその過程がとても大きな学びの機会になります。
「映画とは、未知の領域への途方もない旅です。」と言っているように動きを通してまだ自分自身でも知らないことを知るプロセス=旅のようです。1回ずつのレッスンで自分の中に何が起こるか、どのようにできるのか、何を感じ、見つけるのか、その体験が日常の生活の中でどのようにかかわっていくのかを考えたり……。
もし腰に痛みがある時、このよう動きをするといいですよ。というようなある数式のようなものに当てはめて問題を解決しようとする方法もあります。
どうやるといつ痛みがあるのか、痛みを感じない時はどういう時なのか、どのように動くと痛みが出ないのかというように自分のやっていることに注意を向け、身体も心もすべてを取り込んで、どのようにやればよいか、どのようにそのことと向き合えばよいのかを自分自身で考え続けて答えを導き出すようになるでしょう。それは一つの方法ではなく、いくつもの方法があり、一人一人違うでしょう。
ATMレッスンでは言葉による自分の動きに、FIレッスンではプラクティショナーの手による自分の身体の感覚に集中して注意を向けると、自分の身体のつながり、未知の可能性、自分を知ることへ。
自分の身体や感情、体調など日々同じではないと分かると、自分の中の変化にも気づきやすくなる。
まだ知らない自分の中の何かをもっともっと知ろうとしてみるというのはどうでしょうか。
プラクティショナー サノケイコ