「身体のイメージ」を書き換える ~佐藤 英行report~ 

プラクティショナーが 、月ごとに自分の感じていることやお知らせしたい情報などフェルデンクライスに関することを皆様にお届けしています。第82号ー2023年10月は佐藤 英行がお届けします。

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先日、背骨の動きのATMレッスンを行った。終了後に、ご参加いただいた方から「左の足の土踏まずの感覚がわかるようになった」との感想を頂いた。
その方は右足に怪我をされたということなので、何らかの理由で「足のイメージ」が変わってしまったのだろう。そしてレッスンを受けたことで「左足のイメージ」が書き換えられたのだ。。。

我々の脳の中には「身体の地図」のようなものがある。しかしその地図は、実際の身体をそのまま正解に投影したものではなく、かなり大雑把に出来ている。比較的良く使う身体のパーツにはより多くの脳細胞があてがわれ、それほど使わないパーツにはそれほど多くの脳細胞があてがわれていない。もともと我々の身体のイメージはそれほど正確なものではないのだ。

脳は経験と学習の産物である。生まれたばかりの脳は、原始的な動きが出来る程度の機能しかなく、外の世界を認知する能力を持たない。その後の成長と発達の過程で、経験と学習によって「脳の中の地図=身体のイメージ」が作られていく。よって人それぞれに「地図の描かれ方」は異なり、怪我等の何らかのアクシデントにより、その「地図」が書き換えられてしまうこともある。もともとそれほど正確なものではない「身体の地図」が、さらに何らかの理由で書き換えられてしまったとしたら、今までどおりに動いたつもりなのに『あれ??なんかおかしいぞ??』となってしまう可能性も、十分にありうる。
しかし「いつの間にか書き換えられることがある」と言うことは「意図的に書き換えることもできる」とも言えるのだ。


身体のイメージについて、Dr.モーシェ・フェルデンクライスはLessons from Alexander Yanai #24 の中で、このように述べている。
『身体のイメージの概念は、実際に目で見ることができる身体のイメージ、脳の中にある生理学的な身体のイメージ、そして個人の感情面での身体のイメージの3つが存在する。これらの3つのイメージは個人的な経験を通じて形成される。バランスよく発達した完全な身体には、3つのイメージの間により密接な関係性が見られる。これらの3つのイメージがより密接に関連し、混ぜ合わされることにより、実際に自分の身体に起こっていることを感じることができ、より自分の身体をコントロールし、より精度の高い動きをおこなうことができる。』

経験と学習を通して形成される「身体のイメージ」は、経験と学習を通して「より精度の高いもの」に書き換えることができる。つまりその「身体のイメージ」を実際の身体に合わせることで、より自由に自分の身体、自分の動きをコントロールすることができるようになる。前述のクライアントさんのように、わずか1時間のATMレッスンで身体のイメージを書き換えることも可能なのだ。

皆さんも、一度トライしてみてはどうだろうか??
「より良い動き」を得るためだけでなく「より良く自分を理解し、より自由に自分をコントロールするスキル」を得るためにも。。。

Enjoy Being

フェルデンクライス プラクティショナー 佐藤英行

2023-10-29 | Posted in FK Tokyo 通信, ReportComments Closed 

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