『繰り返し』のデメリット~佐藤 英行report~

プラクティショナーが 、月ごとに自分の感じていることやお知らせしたい情報などフェルデンクライスに関することを皆様にお届けしています。第79号ー2023年4月は、佐藤 英行がお届けします。

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先日のATMレッスンでの事。『脚を動かしながら、身体の他のパーツや、動かしている脚の側の身体に何が起きるか?に注意を向ける』というレッスンを実施した。後日、参加してくれたクライアントさんから、以下のようなコメントを頂いた。

『脚を小さく動かしただけなのに、股関節がとても良く動くようになった。他のエクササイズもいろいろと試して見たけど、こんな経験は初めてだ。』

多くのエクササイズはシークエンスに則って動きを繰り返すことが多い。しかし結果として「シークエンスの実行」だけが上手くなり、そのエクササイズで得られた動きを、他のことに生かすことができない、という事態が起こる場合がある。例えば『腰痛予防のための体操を続けると、その体操をすることは上手くなるが、腰には相変わらず痛みが残る』という残念なことが起きたりするのだ。。。

「単純な機械的な動きの繰り返し」のエクササイズは、確かに達成感や満足感を得ることができる。しかし「エクササイズそのもの」の効果は限定的なものになるようだ。Dr.モーシェ・フェルデンクライスは著書「EMBODIED WISDOM」の中で「機械的な繰り返し」について以下のように述べている。

『単純な機械的な繰り返しは、ただの静的な変化をもたらすに過ぎず、いかなる種類の発達上の過程をもたらさない。このことが問題を引き起こす。人間の熟練の本質的な要素は「自己意識の向上」である。踵のレッスンが、脚全体と脚を構成するパーツにより良い使用法を引き起こしたように「新しい動き」や「より良い動き」を引き起こす自己意識の向上が、そこには存在する。動いている間に何を感じているのか?に意識的に注意を向けることなしに、そしてそれらの行動に起因するすべての動きに、この「注意を向けること」を直接に応用することなしに、発達が起きることはない。単純な機械的な繰り返しは、このことを決して発生させない。』

動いている間に「自分が何を感じているのか?」に意識的に注意を向けることで、自己意識が向上する。その結果として、ひとつの動きが変化するだけではなく、他の動きにもプラスの効果が発生する。これは他のエクササイズでは得ることができない、フェルデンクライス メソッドの大きな特性である。

もしもエクササイズに達成感や満足感だけでなく、すべての動きの向上を望むのであれば、フェルデンクライス メソッドのレッスンがお勧めだ。「自己意識の向上」と聞くと「むずかしそう!?」と思うかもしれないが、それを得ることには、とても大きなメリットがある。

Enjoy Being

フェルデンクライス プラクティショナー  佐藤英行

2023-04-30 | Posted in FK Tokyo 通信, ReportComments Closed 

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