Interaction – 他者との関わり ~佐藤 英行report~ 

プラクティショナーが 、月ごとに自分の感じていることやお知らせしたい情報などフェルデンクライスに関することを皆様にお届けしています。第76号ー20230年1月は、佐藤英行がお届けします。

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ATMレッスンの後に、レッスンの感想を聞くことがある。本当に詳細に自分が感じたことを話してくれる人もいれば、言葉にするのが苦手な人もいる。自分が感じた「感覚」という抽象的なものを言葉にするのは、やはり難しいのだろう。

抽象的な概念を具体化すること、そしてそれを身体で表現して、環境との最適な関わり方を学ぶことも、フェルデンクライスメソッドが目指すものの1つだ。その「環境との関わり方」には「他者との関わり方」も含まれる。しかしこれは簡単なことではない。事実、多くの人々が実社会に出ると人間関係に悩みを持ってしまう。

Dr.モーシェ・フェルデンクライスによれば「言葉は他の成員と同じやり方で自己表現をさせるために、教育によって授けられたもの」だという。しかし我々は、言語を獲得する前にも様々な感情や外部の環境に接する経験を身に付けている。そして意識に上って来ない感情や考えも、我々の中に存在する。だから同じ言葉を聞いても、異なった解釈をしてしまう事が起こりうる。それでは自分の真意が伝わらず、相手を理解することもできない。ある意味で言葉とは「概念を表す記号」のようなものなのだ。

一方で、言葉を使わない「非言語的コミュニケーション」も存在する。我々がまだ言葉を学ぶ前の赤ちゃんだった頃、周囲の大人たちから自分に注意を向けてもらったとき、それを感じとりそれに答えるようにしながら、他者とのコミニケーションを学んできた。言葉を学んだ後でも、この「非言語的コミュニケーション」は可能だ。お互いに注意を向け合い、お互いの存在を感じ取りながらコミニケーションを取ることで、言葉のもつ情報の曖昧さを補うことが出来る。

 

言葉だけに頼っていたら「お互いに何を言ってるのか理解されないまま、相手との会話をしている」という珍事が起きるのかも知れない。それを避けるためには、相手に対しても自分に対しても十分に注意を向けて、自分の中の抽象的なイメージを身体全体で表現して相手とのコミュニケーションを取ることが必要だ。そうすることで「他者との最適な関わり方」に一歩近付くことができる。

もちろん、フェルデンクライスのレッスンを受けて、自分自身に注意を向けること、自分の意図と自分の行動を一致させることを学ぶのが、そのための重要な手段になることは言うまでもない。。。

 

Enjoy Being

フェルデンクライス プラクティショナー  佐藤英行

 

2023-01-28 | Posted in FK Tokyo 通信, ReportComments Closed 

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