呼吸を知る大切さ ~サノ ケイコreport~
プラクティショナーが 、月ごとに自分の感じていることやお知らせしたい情報などフェルデンクライスに関することを皆様にお届けしています。第71号ー2022年8月はサノ ケイコからお届けします。
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今回はフェルデンクライスレッスンを行う時に、必ず関わり合いのある呼吸についてお話したいと思います。
私が踊っていた時に、自分の呼吸が上手くいっていないことに全く気づいていませんでした。
踊る時に胸で呼吸して胸を持ち上げて上体が反るようになってはいけないので、肋骨を横に広げるように呼吸をするとよいと教わりました。
お腹も前に出してはいけないので、いつも平らにしておかなければならないという強迫観念で、お腹もあまり使わず、胸の一部分のみで呼吸していたと思います。(今思えばでそうだったのか思いますが、その時にはそうするものだと思って疑うこともなかったのです)
当然のごとく、激しく動くと心臓も苦しく、呼吸が乱れてしまいます。それでも、激しい動きでも苦しくならないよう、とにかく考えず一生懸命に訓練することしかできませんでした。
フェルデンクライスの養成コースでは、呼吸のレッスンの時にはとよく分からなかったので、睡魔が襲いよく寝ていました。養成コース4年目ぐらいになるとどうやら自分の呼吸はかなり上手くいっておらず、そのことで動きが制限されたり、姿勢にも影響しているのかもと気づき始めました。
特に吐くことが上手くいっていないことに気づきました。それでも卒業してからも苦手意識がありましたが、やはり根本的に呼吸についてもっと感じ取る必要がありましたので、自分でも、また生徒さん達にも沢山の呼吸のレッスンを行いました。やる度ごとにこんなにもいろいろなやり方があるのかと新たな感覚を見いだすことができます。
このようないろいろな呼吸のやり方を学ばずに、一つのやり方だけでやっていたわけだと思うと、こうして学ぶことができ、少しずつ自分に優しくなり始めたのかなと思います。
自分の経験から、次のモシェの言葉は納得しました。
レッスン集の中でモシェの言葉があります。一部を少しご紹介したいと思います。
どんな呼吸の仕方でも、もしそれが個人の身体の要求に合っているのならば、良くなります。それは無理強いした習慣ではないからです。
いつもある決まった方法でやる呼吸は、本当の呼吸ではありません。それは強制された行為です。
健康な身体は、それぞれの状況に適した呼吸を行います。
呼吸のメカニズム全体ー肋骨、胸骨、鎖骨、肩甲骨、腹、横隔膜、そして胸の筋肉が、どんな状況でも最適な呼吸の仕方で動きができるように組織化することが必要です。つまり、呼吸が心臓の動きを邪魔することなく、代わりに呼吸と心臓のリズミカルな関係性が発展することで、矛盾した胸ではなく心臓が拡張することができます。
このことは体験を通してのみ学習することです。
リラックスしている時、緊張している時、怒っている時、急いでいる時など周りの環境によって、自分がどのような呼吸になっているのかに気づくことができるようになってきています。そんな時上手く呼吸ができていないと感じたら、使っていない部分はどこか?どこを使っているか?とにかく胸だけを使っているようだとか…。
少し自分の呼吸を感じてみると、だんだんと自分にとって快適な呼吸を見つけ始まるようになってきます。
何か上手くいかないと感じるが、どのようにしたら良いか分からなくなったら、フェルデンクライス・メソッドを試してみてはどうでしょうか。枠から外れてみると上手くいくかもしれませんよ。
プラクティショナー サノ ケイコ