自分の中の埋もれている可能性に焦点を当てて ~サノ ケイコreport~
4人のプラクティショナーが 、月ごとに自分の感じていることやお知らせしたい情報などフェルデンクライスに関することを皆様にお届けしています。
7月のreportはツダ ユキコからお届けする予定でしたが、もう少し時間が必要な状態です。出来次第掲載いたしますので、もうしばらくお待ちください。
第61号-2021年9月はサノ ケイコからお届けいたします。2021年10月は佐藤 英行です。
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毎年行われている世界バレエフェスティバルが8月22日に開催された。
注目するダンサーは、44歳で引退して(44歳まで踊っていたこともすでに凄いと思うが)から50歳で復帰し、8年経った今年も舞台に立っているアレッサンドラ・フェリ。
バレエや踊りを踊れるのは、ある年齢になると現役のダンサーとしての活動をやめるダンサーが多い中、彼女の踊りに対する考え方にはとても共感できる。
朝日新聞記事でのアレッサンドラ・フェリの言葉に共感したのでご紹介します。
「今の自分をさらけだす勇気をもつことが、新たな出発点となりました。これまで経験をダンスを通し、舞台から語りかけたいと思っています。赤ん坊、少女、母親、老人。人生すべての段階にかけがえのない固有の美しさがあることを、私は自らの肉体で証明したい」
「どのダンサーも自分の体がこれまでとは同じではないと感じ始める瞬間がくる。今までできてたステップができなくなる。それに気付く瞬間は、誰にとっても本当に怖いものです」
しかし「衰えて初めて、見えてくる世界がある」と力強く語る。
「跳躍や回転ができなくなってから、シンプルな動きにどれだけの深みを宿らせられるかという挑戦が始まるのです。歌舞伎や能が私の指針です。ひとつの動きにどれほど膨大な叡智が翻訳されていることか」
(中略)
「コロナによって私たちは、自身の内なる声を聴き、他者の声に耳を傾ける静かな時間を与えられました。生き急ぐのはやめてしょう。今、この瞬間を常にみずみずしく感じ続けることが、真に生きるということなのです。」
年齢を重ねると肉体的にも見た目にも「衰え」ということを、誰よりも自分自身が気づいているでしょう。そして、それを何とかごまかしたり、隠そうとしたり。
彼女のようにさらけ出す覚悟はなかなか持てないものです。これだけでも凄いなと思います。
何かができなくなったり、やりにくくなる時が、自分のいつものやり方や考えを変えるチャンスになるのだとしたら…。
どのように変えたらよいのか。
その答えは自分自身の中にあり、それを自分で見つけることができるのです。そのやり方をフェルデンクライス・メソッドの動きを通して学ぶことができます。
フェルデンクライス・モシェによれば、覚醒状態では動き、思考、感覚、感情の4つの要素で構成されている。
動きを行うことから学ぶことは、どのように思考、感覚、感情と関わっているのか、自らの全体を使って経験することで見えてくるものがある。学びの過程は一人一人違っているので、他人と比較することもしなくて良いのです。
年齢に関係なく誰もが、自分の中の埋もれている可能性に焦点を当て、やりたいことに活してと思います。
参照;アレッサンドラ・フェリがVOUGEで2019年の記事も興味があればごらんください。
世界を魅了する女優バレリーナが伝えたいこと。【前編】 https://www.vogue.co.jp/lifestyle/interview/2019-4-12/alessandra-ferri-ballet
踊ることをやめないその理由。【後編】 https://www.vogue.co.jp/lifestyle/interview/2019-04-13/alessandra-ferri-ballet
サノ ケイコ