リハビリテーションとフェルデンクライスメソッド~佐藤 英行report~

プラクティショナーが 、自分の感じていることやお知らせしたい情報などフェルデンクライスに関することを皆様にお届けしています。第103号ー2026年7月は佐藤 英行がお届けします。

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「フェルデンクライスメソッドは、リハビリテーションから始まったと聞きました。」ある日、クライアントさんからそう尋ねられた。

おそらく、Dr.モーシェ・フェルデンクライスが、自ら傷めた膝をきっかけに研究を始め、それが後に一つのメソッドとして発展したことを知っていたからだろう。しかし、その言葉をきっかけに、私は改めて考えた。リハビリテーションとフェルデンクライスメソッドは、どのような関係にあるのだろうか?

まず整理しておきたいのは、「リハビリテーション」と「理学療法」は同じ意味ではないということである。リハビリテーションの理念には、「全人間的復権」「ノーマライゼーション」、そして「個人の尊厳と主体性の尊重」がある。そこには、身体機能を回復させるという目的だけではなく、病気や障害、さらには社会の偏見や制度によって損なわれた人間としての尊厳や権利を回復し、その人が再び社会の中で生きていけるよう支えるという大きな思想がある。つまり、リハビリテーションが向き合っているのは、単なる身体ではなく、「人間が生きる」ということなのである。


一方、フェルデンクライスメソッドもまた、人間が生きること、そして生き延びることに関わっている。我々人間は、本能だけで生きているわけではない。環境との関わりの中で学習し、その学習によって生きる術を身につけてきた。しかし過去に役立った学習が、いつまでも「最適解」であるとは限らない。身体や環境が変化すれば、再び学び直す必要がある。我々は、自分が学んできたことの範囲でしか選択することができない。だから、人は何度でも学び直さなければならないのだ。

フェルデンクライスメソッドが目指しているのは、単に「楽な動き方」を身につけることではない。神経システムと動きの関係を再組織化し、新しい可能性を発見することである。それは、変化する環境の中で、自分自身を適応させながら生き延びていくための学習なのである。

このように考えると、リハビリテーションとフェルデンクライスメソッドは、方法論こそ異なるものの、根底には共通する理念があるように思える。どちらも、人間の生存や存在に関わるものだからである。

私はそのクライアントさんに、こうお伝えした。
「これはあくまで私自身の考えですが、リハビリテーションもフェルデンクライスメソッドも、人間が生きること、生き延びることに関わっています。だから、方法は違っても、その先にある理念には共通するものがあるのではないでしょうか。」

私は長年、理学療法士としてリハビリテーションに携わり、現在はフェルデンクライスメソッドを通して、人が学び直していく過程に関わっている。二つは決して同じものではない。しかし、人間は変化する環境の中で学び続ける存在であり、その学びによって新たな可能性を見いだしていく。
その意味で、リハビリテーションもフェルデンクライスメソッドも、人がよりよく生き延びていくための道を支えているものではないだろうか?

2026-07-31 | Posted in FK Tokyo 通信, ReportComments Closed 

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