ホームレスに学ぶ ~佐藤 英行report~

4人のプラクティショナーが 、月ごとに自分の感じていることやお知らせしたい情報などフェルデンクライスに関することを皆様にお届けしています。

7月のreportはツダ ユキコからお届けする予定でしたが、もう少し時間が必要な状態です。出来次第掲載いたしますので、もうしばらくお待ちください。

第62号-2021年10月は佐藤 英行からお届けいたします。

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近くの駅に、ガード下に住み着いたホームレスがいる。60代くらいだろうか。薄汚れたレジ袋数個に入った「所持品」と、ボロボロの傘が「彼」の全財産のようだ。最初に「彼」を見かけてから、もう3年になる。

昨年、新型コロナウイルスが流行し始めたときに「彼」はどうなってしまうのだろうか⁇と思った。「彼」にとっても新型コロナウィルスは未知のウィルスのはずだ。「彼」のようなホームレスは、罹患したら真っ先に亡くなってしまうのではないか??と考えた。しかし「彼」は、今日もいつもと同じ「日常」を送っている。

皮肉なもので「彼」よりも衛生的な生活を送っている人たちが、新型コロナウイルスに感染している。一方で、マスクもせず、ろくに手も洗わない、路上生活者の「彼」が、いつもと同じ「日常」を送っている。我々はこの事実にもう少し注目しても良いのではないだろうか⁇

我々が病気にかからない方法はいくつかある。常に身体を清潔に保つことで病原体を寄せ付けず、前もってワクチンを打って病原体への抗体を作る。それも1つの方法だ。現代社会はそれを「正しいこと」として提示している。そして多くの人がそれを信じている。しかしそれでは我々の「免疫力」は弱くなる一方だ。

我々は「免疫力」のおかげで、太古の昔から疫病を克服してきた。であるから、本来持っている「免疫力」を高めることを「ソーシャルディスタンス」「手洗い」「ワクチン接種」等と同じレベルで実践するべきではないか??

さらには「特定のウィルスだけに有効な免疫抗体」を作るワクチンの開発だけでなく「我々の全般的な免疫機能を高める方法」が、もっと真剣に開発されるべきではないだろうか⁇  「彼」の存在が、そのことの有効性と可能性を示しているような気がしてならない。

Dr.モーシェ・フェルデンクライスは、その著書「心をひらく体のレッスン」のなかで「私たちは、いろんな領域で未だにひとつの可能性にしがみついている。特に社会組織のことになると、愚かな古臭い思考方法を捨てきれない。」と述べている。今の我々は見事に「ひとつの可能性」だけにしがみついているように思えてならない。

たとえ新型コロナウィルスが終熄しても、また新たな「未知のウィルス」が発生することは十分考えられる。その時に我々は、また同じことを繰り返すのだろう。先進諸国ではロックダウンをして人の流れを断ち切って、製薬会社は新たなワクチンを開発するのだろう。今の考え方に固執していては、それ以外に方法がないからだ。ある意味で「終わりのない戦い」だ。

その時にまた同じことを繰り返さないために、そして本当に「未知のウイルス」に打ち勝つために、今のうちに新たな選択肢を見つけ出すことが必要である。

プラクティショナー  佐藤英行

2021-10-22 | Posted in FK Tokyo 通信, ReportComments Closed 

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