佐藤英行からReport~Alexander Annoy?? -プロセスと結果-

4人のプラクティショナーが 、月ごとに自分の感じていることやお知らせしたい情報などフェルデンクライスに関することを皆様にお届けするという企画をいたしました。

第6号-12月は、佐藤 英行からお届けいたします。2017年1月はなみかわ ももこが担当いたします。

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フェルデンクライス メソッドは、日本語で書かれた書籍が少ない。そもそもDr.モーシェ・フェルデンクライスが残した書籍自体がそれほど多くない。ATMレッスン集にいたっては、その多くが「英語」で書かれている。英語が得意な人なら良いかもしれないが、それほど英語に馴染みのない人にとっては「英文で書かれたレッスン集」からレッスンを作る作業は大変な労力を必要とする。私自身も「プラクティショナーになって『英語力』だけは向上した」と自信をもって言えるほど、今でも苦闘している。。。

多くのレッスン集は実際のレッスン現場を録音した音源から一言一句書き起こして文章にした、いわば「ライブ録音の書き起こし」の形で残っている。読む人が読めば「実際のレッスンの臨場感が感じられる」のかもしれないが、私に限ってはそんな余裕はない。「英文を読みながら指示通りに動いてみて、日本語での表現を考える」ということを繰り返すだけである。書かれている「動きの指示」も別の表現で同じ動きが何度も繰り返されていたりする。そして「ライブ録音」ゆえに、時には「右側」と「左側」の指示が間違っていたりする。それを「ひとつひとつ拾い上げて形にしていく」という「回りくどいプロセス」を繰り返すことで、ようやくひとつのレッスンが完成するのだ。何度も「もう少し簡単な表記方法でレッスンを残せなかったのか??」と思ったものだ。そして「せめて、日本語でレッスンを残してくれ!」とも。。。しかし最近私は「もしかしたら、それこそがDr.モーシェ・フェルデンクライスの狙いだったのでは・・・・??」とも考えるのである。。。。

ある先輩プラクティショナー氏が自身のSNSに「自分が知覚しないとなんの得にもならないのがフェルデンクライス レッスンの本質。そのために回りくどいレッスンが続く」と記載されていた。たしかにそのとおりだ。ATMレッスンは「動きのレッスン」と称していても「指示された動きが出来たかどうか?」に視点を置いていない。動けなかったら動きをイメージすることで良い。つまり「動くこと」ではなく「動くために何をするのか?を知ること」が「目的」なのだ。その「目的」が理解できていないと、レッスンを受けたからと言って、すぐには「有効な結果」が出ない。ちょっとやったくらいでは「なんだか良くわからない??」となってしまうのだ。これは多くのエクササイズやセラピーと大きく異なる点である。特に「Digital age」の現代に生きる我々は、情報や結果を即座に得ることに慣れてしまっている。「出来るだけ簡単に早く結果が出るもの」が好まれるのだ。そんななかで「回りくどいレッスン」を受けるクライアントは「快適に心地よく・・・」などと言われながらも「混乱」しているに違いない。。。

そしてこの「混乱」は、なにもクライアントだけではない。レッスンを提供している私自身も「混乱」しながら「回りくどいプロセス」を繰り返してレッスンを作っている。レッスンを提供する側にとっても、レッスンを受ける側にとっても「回りくどい」のがATMレッスンだ。そして最近になって、この「回りくどいプロセスを自分で実践する」ことを繰り返すことが「レッスンを理解するのに必要なのだ」とようやく理解できるようになった。もしレッスン集がもっとシンプルで、例えば写真解説付きで動きの手順だけが示されていたとしたら、レッスンそのものは簡単に出来るかもしれない。しかしそれでは私のような「怠け者プラクティショナー」は何も学ばなくなってしまう。もしかしたらプラクティショナーに「学びの機会」を与え続けるために、レッスンは「わざとわかりにくい形」で残されているのかもしれない。そしてそれがDr.モーシェ・フェルデンクライスの狙いだったとしたら、私は見事に彼の策略にはまってしまったことになる。。。やはりモーシェは天才だ!

もしDr.モーシェ・フェルデンクライスが、苦労しながらATMレッスンを作っている私を見たら、きっと天国で「フフフ・・掛かったな・・・」とほくそ笑んでいるに違いない。。。。

 プラクティショナー 佐藤英行

2016-12-29 | Posted in FK Tokyo 通信, ReportComments Closed 

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